土地規制法廃止を求める理由
私たち「土地規制法の廃止を求める沖縄県民有志の会」は次の5つの理由で土地規制法の即時廃止を求めます。
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この法律はどのような施設の周辺住民が規制の対象となり、どのような行為が施設の機能を阻害する行為とされるのか、全てが曖昧な欠陥法である。
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この法律の影響を最も強く被るのは沖縄であるにもかかわらず、沖縄の意見を聴くことなく制定された。
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法律を制定するには、現行法ではなぜ対応できないのか、何が足りないのか、どのような理由や事情があるのでこの法律が必要なのかといういわゆる立法事実の説明が必要だが、明確な説明がないまま採決が強行された。
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この法律は自由な土地や建物の取引を阻害し、土地や建物の所有者や利用者だけでなく沖縄経済全体に波及し、雇用にも影響を及ぼす恐れがある。
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この法律では、政府の命令によって自治体や地域住民に他の住民に関する様々な情報の提供が義務づけられ、知らないうちに国の手によって情報収集され、人物判定がなされ、しかもどのように利用され取り扱われるかが分からず、結果として地域社会の横のつながりが弱体化する。
沖縄における問題点
令和3年(2021年)6月16日、自衛隊や米軍基地、国境離島などの土地利用を規制する「重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律」(以下「本法」と略称する)が第204回国会で成立した。どのような施設周辺の住民が規制の対象となり、どのような行為が阻害行為とされるのか、全てが曖昧な欠陥法である。本法第9条および第25条には、注視区域内における基地等重要施設の施設機能や国境離島の国境離島機能を阻害した場合またはそのおそれがある場合2年以下の懲役若しくは200万円以下の罰金という罰則があるが、どのような行為に対してこの罰則が適用されるのか、本法は具体的に明示していない。内閣総理大臣まかせである。これは憲法第31条が定める「罪刑法定主義」に違反し認められない。
沖縄は全島が国境離島であり、国土面積の0.6%を占めるに過ぎないのに在日米軍基地の70.6%がある。また平成25年(2013年)12月の「25防衛大綱」による自衛隊の「南西シフト」により、琉球弧の島々ではいま次々と自衛隊基地が拡充整備されている。本法の影響を第一に被るのは、間違いなく沖縄であり、我々沖縄に暮らす者は本法の成立に異議を申し立てる正当な権利を有する。政府は、ことあるたびに「沖縄県民の負担を軽減する」と言い、また菅義偉首相は令和2年(2020年)10月26日の第203回国会で行なった就任後初の所信表明演説において「引き続き、沖縄の皆さんの心に寄り添う」と発言している。政府は有言実行し改めて本法の制定について沖縄県民の意見を聴くべきである。
そもそも新たな法律を整備するにあたっては立法事実(法整備を必要とする事実・事情)を明示する必要があるが、第204回国会での本法に関する審議では、政府は、現行法ではどう対応できないのか、何が足りないのか、どのような問題や事情があるのでこれが必要なのか、全く回答できなかった。外国企業の土地取得で周辺住民が不安を抱いているとの政府答弁が繰り返されたが、政府自身が外国企業や外国人による基地機能を阻害するリスクが確認された事実はないと認めている。つまり立法事実はない。コロナ対策のため会期延長を求める声が国会の内外で強かったにもかかわらずそれを聞き入れずに閉会とし、その直前に採決したのである。暴挙と呼ぶほかない。
本法が沖縄に及ぼす恐れがあるとして危惧されるものの一つに土地・建物取引への影響がある。その影響は土地や建物の所有者にとどまらず、産業連関を通じて全県民の経済活動を直接・間接に制約する要因となる。沖縄は全島が国境離島に含まれ、注視区域となるおそれがない区域はほぼないと考えられる。その中でも米軍や自衛隊の司令部の周辺(例えば北谷町美浜地区)は特別注視区域に指定され、土地や建物の取引に国への報告とその承認が必要となり、沖縄経済の自由な発展を阻害する恐れが大である。自分が調査されるかも知れない、規制がかかるかもしれない土地や建物を、わざわざ買う人はいないからだ。市場で敬遠され、価格が下がることは必至である。その影響は県内外の沖縄への投資にも及び、雇用への負の影響も避けられない。
沖縄県民にとってさらなる懸念は、自身に関する様々な情報が知らないうちに国によって収集され、どのように利用されるかが分からず、不当な人物判定がなされる恐れがあることである。個人の思想信条の自由やプライバシーを侵害する治安立法の性格が強い法律である。本法第8条は、土地や建物の所有者や利用者その他の関係者を対象とする情報収集の権限を国に与えているが、国会答弁において政府は、政府が情報提供を命ずるだけでなく、住民の方から情報を寄せる窓口設置も検討していると述べている。国の情報収集に隣人が手を貸しているかも知れないと互いに疑心暗鬼・相互不信の念を抱かせる恐れが大である。それは寛いだ「ユンタク」をためらわせ、「ユイマール」という言葉に代表される沖縄の地域社会の横のつながりを維持し発展させていく上で大きな障害となる。戦中、軍によってスパイ監視の目的で住民が密告を強いられ、住民によるスパイ容疑者の制裁さえもたらした沖縄の悲劇を繰り返してはならない。
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土地規制法の廃止を求める沖縄県民有志の会
共同代表:仲松典子、与那覇恵子、仲松正人、真喜志好一、桜井国俊